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乳がんのつづき

乳がんの進み方

 乳がんとわかった場合には、MRI(磁気共鳴画像診断)やCTなどの検査でがんがどの程度広がっているか、他の部位に転移しているかどうかなどが調べられます。その程度や進み方によって、治療の方針が決められることになります。

乳がんの場合、0期からIV期までに分類されています。

乳がんの多くは乳管に発生しますが、ここにとどまっているものが、0期です。これはごく早期の乳がんです。I期は、しこりの大きさが2センチ以下で脇の下のリンパ節に転移していないもの。つまり、乳房の外に広がっていないと思われるがんです。同じ大きさでも、脇の下のリンパ節に転移していると思われる状態のものは、II期になります。あるいはリンパ節転移の有無にかかわらず2センチを超え、5センチ以下のものもII期と診断されます。

乳がんの場合、8割前後の人がII期までの段階で発見されています。ふつうがんは、手術後5年間生存していれば治ったとみなされますが、乳がんはがんの増殖スピードが遅いので、10年生存率を治癒の目安にしています。I期ならば10年生存率は9割近く、II期でも7割を越えています(「がん検診の評価」より)。乳がんが、治る率の高いがんと言われるのも、ここに原因があります。

III期は、IIIa期とIIIb期IIIc期に分類されています。IIIa期は、しこりの大きさが5センチ以上、あるいはリンパ節転移が確実な状態です。IIIb期は、シコリが、肋骨や胸の筋肉にしっかりと固定されたり、皮膚まで顔を出しているような状態。あるいは鎖骨のリンパ節に転移がある状態です。IIIc期はわきの下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移している状態。他の臓器まで転移するようになるとIV期になります。進行がんと呼ばれるのは、III期とIV期です。

乳がんの治療法

 乳がんは、がんの中でもさまざまな治療が効くがんで、がんの進みかただけではなく、がんの性質に応じて治療法が選択され、これを組み合わせて治療が行われています。基本は手術によるがんの摘出ですが、ホルモン療法や抗がん剤治療、放射線治療も効果があり、さらに最近は再発乳がんを対象に抗体療法も行われています。
〔手術〕
基本的には、IIIa期までの乳がんは手術を中心に治療が行われます。手術にも、いくつかの方法があります。長い間、乳がんはハルステッド法といって、乳房と一緒に胸の大小の筋肉や脇の下のリンパ節を切除する方法が中心でした。これによって、乳がんの治療成績は飛躍的に向上しました。しかし、この手術は胸の筋肉をとってしまうため、肋骨が浮き出るなど美容的な問題に加え、腕を動かしにくくなったり、むくみ(リンパ浮腫)が出るなどの障害が出やすいのが難点でした。ところが、その後乳がんも早期発見が多くなったため、ハルステッド法のように大きな手術をすることは少なくなりました。現在では、がんが胸の筋肉に深く食い込んでいる場合などごく一部をのぞいてハルステッド法はほとんど行われなくなっています。

胸筋温存乳房切除術

乳房のすぐ下には大胸筋、その下には小胸筋という筋肉があります。胸筋温存乳房切除術にも、大胸筋だけを残す方法(大胸筋温存乳房切除術)と両方の筋肉を残して乳房を切除する方法(大小胸筋温存乳房切除術)があります。
リンパ節転移が多い場合などは、リンパ節を確実に切除するために、小胸筋を切除することがありますが、最近は両方の筋肉を残して乳房を切除するケースが多くなっています。腕を動かす時に使われるのはおもに大胸筋なので、この筋肉を残すだけでもハルステッド法に比べればかなり障害は少なくなります 。

乳房温存療法

乳房を残して、がんの病巣のみを切除する方法です。実際には、がんの病巣を中心に安全を見込んで大きめに切除し、手術後は放射線を照射します。この治療法は、手術によってできるだけがんの病巣を切除し、残ったがんは放射線治療で叩くというのが基本的な考え方です。したがって、放射線治療は必須です。また、切除した組織の端(断端)を検査し、取り残しがあれば乳房切除術が行われることもあります。

基本的には脇の下のリンパ節転移があるかどうかにかかわらず、がんの大きさがおおむね3センチ以下で、がんが乳管の中に広範囲に広がっていないこと、がんが多発していないこと、放射線治療ができることが適応の条件とされています。ただし、施設によって考え方には多少違いがあり、もっと大きな乳がんにも適応しているところもあります。そのため、日本全国では40%ぐらいに温存手術が行われていますが、施設によっては8割を越えるなどかなり差があることも事実です。

補助療法

手術後、切除したがんの大きさや性質、リンパ節転移の有無などを調べ、抗がん剤やホルモン療法による術後補助療法が行われます。手術時には肉眼では見えなかったようながんを補助療法によって封じ込め、再発を防ぐことが目的です。一般 的には、脇の下のリンパ節転移の数が多くなるほど、再発の危険が高くなると考えられています。そこで、その数などを指標に補助療法の強さが決められます。

ホルモン療法は、抗がん剤に比べて副作用が少ないのが利点です。ただ、ホルモン療法は、エストロゲンに対してがん細胞が感受性があることが前提となります。これを調べるために、乳がんにホルモン受容体があるかどうかを調べます。約6割の人は、ホルモン受容体があります。この場合は、ホルモン療法が優先して行われます。これにも、エストロゲンの働きを抑えるタモキシフェン、卵巣からのエストロゲンの分泌を抑えるLHRHアナログ(閉経前の女性が対象)、副腎から分泌された男性ホルモンをエストロゲンに変えるアロマターゼという酵素の働きを阻害するアロマターゼ阻害薬(閉経後の女性が対象)などがあります。

ホルモン受容体が陽性の場合には、状態に応じてこうしたホルモン療法を単独、あるいは組み合わせたり、抗がん剤と併用して補助療法が行われます。とくに、タモキシフェンは飲み薬で副作用が少なく、欧米の大規模な臨床試験で再発予防効果が認められたため、よく使われています。少なくとも2年、原則としては5年間服用を続けます。

一方、ホルモン受容体がマイナスでホルモン療法の効果が低いと判断される場合は、抗がん剤を主体に補助療法が行われます。抗がん剤は、数種類を併用して投与します 。

抗がん剤とホルモン療法

乳がんもIV期になると、がんが他の臓器に転移しているので、局所のがんを切除する手術療法では対応できなくなります。この場合は、全身のがんを攻撃できる抗がん剤やホルモン療法が中心になります。

再発した場合も同様です。いずれの場合も、基本的にホルモン受容体が陽性の場合は、体に負担の少ないホルモン療法が優先して行われます。すでに補助療法であるホルモン剤を投与していた場合は、それ以外のホルモン療法を行うことになります。また、ホルモン療法も長く続けていると、やがて効果が落ちてきます。こうなった場合は、別のホルモン療法を行い、それも効果がなくなった場合には、抗がん剤治療を行います。ただし、これは原則的な考え方で、抗がん剤とホルモン剤を組み合わせたり、がんの進行が早い場合は最初から強力な抗がん剤を使うこともあります。

ホルモン受容体がマイナスの場合は,抗がん剤を組み合わせて使っていくことになります。抗がん剤治療は、数種類の抗がん剤を組み合わせて使うのが基本で、乳がんの場合最初は、シクロフォスファマイドやアドリアマイシン、5FU、メソトレキキセートなどを組み合わせて使う治療がよく行われています。抗がん剤も、長く使っているとがんに耐性ができて効果が落ちてくるので、その場合はタキソールなど別の抗がん剤を軸とした治療を行います。

さらに、最近まったく新しいメカニズムで働く治療薬が使えるようになりました。これは、トラスツズマブ(ハーセプチン)という抗体です。病原菌などの異物が体内に侵入すると、私たちの体の中では免疫反応が起こります。つまり、異物に対する抗体が作られ、異物を攻撃、排除します。これと似た仕組みで、乳がん細胞の目印(HER2受容体)に取りつき、がんを攻撃するのがトラツズマブという人工的に作られた抗体です。従来の抗がん剤と違って、HER2という目印を目標に、乳がん細胞だけを攻撃するので、副作用が少ないのが利点です。

HER2を攻撃目標として作用する薬なので、この薬が使えるのはがん細胞にHER2がたくさん現れている人に限られます。乳がんの25~30%にはHER2が強く発現しています。HER2が強く出ている人(3プラス)にしぼってトラツズマブをタキソールなどの抗がん剤と併用して使うと6割の人に効果があると言われています。国内で行われた臨床試験では、転移したがんが消えた例も報告されています。効果 がある限り、使い続けるのが原則です。

このように、乳がんの場合は再発・進行がんであってもいろいろな手法を使って、命を永らえる工夫が行われています。

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