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不正出血

不正出血とは月経時以外の性器からの出血

 不正出血とは「月経時以外の、性器からの出血」のことをいいます。おりものに血が混じったり、月経と月経の間に出血したり、数カ月に一度出血したり、突然、ナプキンでも間に合わないくらいの出血がある人もいます。
不正出血は「少し血が出た程度だから大丈夫」「たまにしか症状がないから大丈夫」と自分で判断するのは危険です。出血量と頻度は、病気の重さと一致しないからです。

性器からの不正出血は「器質性出血」と「機能性出血」に分けられる

性器からの不正出血には、大きく分けて「器質性出血」と「機能性出血」の2種類あります。
「器質性出血」は子宮の腫瘍などの異常によるものですが、これには良性と悪性があります。
良性は、「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮膣部びらん」「子宮頸管ポリープ」「子宮内膜ポリープ」など。子宮膣部びらんはセックス後に出血したり、おりものの増加、排尿時に痛みを伴ったりします。良性のものは基本的に、治療をすれば完治します。
一方、悪性には、「子宮頸がん」「子宮体がん」「卵管がん」「膣がん」「外陰がん」「子宮肉腫」などがあり、不正出血は大きな病気のサインとなるのです。

「機能性出血」の多くは卵巣機能と関係がありその働きが衰える、更年期にあります。また思春期の子宮や卵巣が未発達である時も、出血する場合があります。機能性出血の原因は、女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌バランスの崩れです。更年期時に過度のストレスや不規則な生活が続くと、ホルモンバランスが崩れ、不正出血につながることが多くなっています。
この他、月経と月経の間の排卵期前後に、無排卵や卵胞ホルモンの分泌が低下して少量の出血が起こる「排卵期出血(中間期出血)」や、血液疾患、ビタミンC欠乏症、急性伝染病、敗血症など、全身の病気からくる不正出血もあります。

増え続けている子宮筋腫と子宮内膜症

「子宮筋腫」は成人女性の4人にひとりがかかっている一般的な病気で、子宮の筋肉層にしこりやこぶ、おできなどの腫瘍ができるものです。症状として生理期間が長くなった、レバー状の血の塊がたくさん出るようになった、月経痛が激しい、貧血、腰痛などがあります。しかし子宮筋腫は良性の腫瘍なので、貧血や重い生理痛などの不都合がなければ、手術などの治療をせず、8センチくらいのしこりでも経過を観察することが多くなっています。
「子宮内膜症」は、月経痛が激しくなる症状から始まり、出血量も増え、不正出血があり……、と気が付いてから病院に来る人が多く見られます。これは子宮内膜の組織が本来あるべき子宮内部以外の部分に発生して増殖する病気です。女性ホルモンの影響を受け、月経周期に合わせて増殖や剥離を繰り返し、病状が進むと激しい月経痛がおこります。また不妊と関係が深いとも言われています。
最近、子宮内膜症が増えてきました。受診率の増加や医学の進歩によって発見件数が増加したこと以外に、晩婚化・少子化・初経年齢の若年化などにより、一人の女性の経験する月経回数が増加していることも一因になっていると考えられています。
「子宮内膜症」も良性です。生理痛や貧血などの自覚症状があったら我慢せず、早めに検査を受けましょう。





不正出血で怖いのは子宮がん

一方、不正出血の症状が出たときに、一番心配なのは「子宮がん」です。
「子宮がん」には、「子宮頸がん」と「子宮体がん」があります。
「子宮頸がん」は子宮の入り口、子宮へ異物が入るのを防ぐ働きをする場所にできるがんです。10~20代にもみられることがあり、最近若年化の傾向にあります。「子宮頸がん」の初期は症状がありませんが、病気が進むと不正出血やにおいの強いおりもの、さらに進むと下腹部や腰に痛みが出ます。
「子宮体がん」は子宮の内部にできるがんで、子宮内膜に近い部分にできることから、「子宮内膜がん」とも言われます。こちらも増加傾向にあり、50代に多く、子宮体がんの初期には不正出血があります。進行すると悪臭のある血の混じったおりものが、腹痛とともに見られます。



子宮がんにかかりやすい人には、下記のような傾向があります。

子宮頸がん
・若いとき(16歳前後)から性交渉を始めた
・性交渉の相手が多数
・結婚が早く妊娠、出産の回数が多い

子宮体がん
・年齢が50歳以上
・閉経以後もしくは妊娠、出産の経験が少ない
・若い頃から月経不順
 

「子宮頸がん」も「子宮体がん」も、発見が遅れると治療が難しくなるので、「不正出血」があったり「月経に違和感がある」「月経時でなくても、子宮あたりがすっきりしない」と感じたら、出来るだけ早く婦人科を受診しましょう。

不正出血の検査と治療法

 婦人科の問診では、どの程度の不正出血があるのか、その期間や量などの質問があります。症状や体調をメモしていくといいでしょう。また、若い方は基礎体温を記録してから受診することをおすすめします。
内診では、ほとんどの病院で超音波検査(エコー)を行います。超音波検査にはお腹の上から超音波を発信する器具をあてて子宮を観察する「経腹法」と、器具を膣内に入れて内部の断面を見る「経膣法」があります。細胞診は必ず受けましょう。
さらに「子宮鏡検査」という検査方法もあります。これは子宮の中に子宮用の内視鏡を入れ、内部の画像を診察する方法で、5~15分で終わります。子宮の内側に出来る筋腫、ポリープなどを発見し、そのままポリープを除去することができます。
問診と内診で不正出血の原因がわかったら、止血剤、低容量ピル、排卵誘発剤など薬剤を使用することもあります。また、ホルモンバランスの崩れによる不正出血は、ホルモン注射をすることもあります。

不正出血は病気のサインですが、30歳を過ぎたら不正出血がなくても子宮がんの定期検診をしましょう。なにもなければ安心できますし、たとえ病気が見つかったとしても、良性のものであれば簡単に治りますし、悪性のがんであっても、早めの治療で完治することができます。

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