乳腺症とは、30~50代でよく見られる良性疾患です。乳がんや乳腺炎のようにはっきりとした病気ではなく、女性ホルモンのバランスが崩れたことによって乳腺に起こるさまざまな病変の総称となります。
生理前に乳腺が張る、乳房が痛いという経験は、女性なら誰でも経験があるでしょう。乳腺症は女性ホルモンの影響を強く受けて起こるので、卵巣からのホルモン分泌が増える生理前になると症状が強くなり、生理が終わると和らぎます。
また乳腺症は、閉経後は症状が自然に緩和されていきます。
乳腺に病変があると聞くと、「乳がんでは?」と不安になりますよね。乳腺症は良性疾患ですが、乳がんは悪性疾患。でも、乳腺症の約2割には、がん化しやすい病変が含まれているのも事実です。
乳腺症と診断されても、あまり不安がる必要はありませんが、万が一、細胞が変化し、乳がんになってしまった場合に敏速な対応ができるので、1年に1~2回は乳房検査を受けておいたほうがいいでしょう。

一般的な検査方法は
・乳房を縦に挟んで撮るレントゲン(マンモグラフィー)
・乳腺超音波検査(エコー)
の2パターンがあります。
問診や触診で、はっきりとした症状や所見がある場合には、針を刺して細胞を吸引し、顕微鏡で観察する検査(細胞診)や、局所麻酔をしてから乳腺の一部を切り取り、顕微鏡で調べる(乳房生検)などが行われます。
治療は、痛みなどの症状があまりない場合には経過観察だけで、特に治療は行いません。痛みが強い場合には、乳腺に作用するホルモンブロック剤で治療します。