
女性なら誰でも生理前に乳房が張って痛んだり、生理前でなくても乳房にしこりができることがあります。乳房の異常に、「もしかして、乳がんかも?」と心配になるかもしれませんが、同じような症状を示す病気も多々あります。
思春期~20代の若い世代で乳房にしこりができる病気に「乳腺線維腺腫」があります。これは乳房内の線維組織と乳腺が増殖することで形成される良性の腫瘍です。はっきりとした原因はまだわかっていないのですが、思春期に多いことから女性ホルモンのエストロゲンが何らかの発症原因になっていると考えられます。
思春期では、気恥ずかしさから親に体を見せたがらない女の子もおり、知らないうちにしこりが大きくなっていた…ということがありますので、親は注意して観察するようにしてください。
「乳腺線維腺腫」の症状は、乳房に1~3cmほどの、ちょうどおはじきのような円形で平らなしこりができて、さわるとコロコロとよく動くのが特徴です。乳腺症とは異なり、周囲との境界線がはっきりしていて、押しても痛みを感じることはほとんどありません。
数は1個だけのこともあれば、多数できることもあります。また、片側に多発することも、両側に発症することもあります。
痛みがなく硬いしこりなのは乳がんに似ているので心配されますが、乳腺線維腺腫なら良性のまま終わり、乳がんになることはありません。しこりは多少は増大しますが、乳腺の発達とともにわからなくなっていきます。