
甲状腺はのどぼとけの下にある蝶のような形の、およそ直径4cmほどの臓器です。ここで生命活動に必要な新陳代謝を促す「甲状腺ホルモン」をつくっています。甲状腺が働きすぎてホルモンを大量に出したり、また逆にホルモンが足りなかったりすると、甲状腺の病気となります。
甲状腺の病気には主に、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺腫がありますが、その9割が甲状腺機能亢進症となっており、20~30代を中心とした女性の、1000人に2~6人はいるといわれている病気です。
他の病気と混同されて見逃されやすい甲状線の病気ですが、体のサインから気がつくことがあります。サインは抜け毛が増えた、つめが伸びるのが早くなった、首が腫れてきて洋服の襟がきつい、目が見開いたようになる、などです。甲状線ホルモンの分泌が正常になると、これらの症状はおさまってきます。
甲状線の腫れや顔、からだの症状が確認できれば、簡単な血液検査でホルモンの量を測定します。治療法は飲み薬で、甲状線ホルモンを正常な量にコントロールしていきます。
甲状腺機能亢進症は、いくつかの原因で甲状腺が刺激されて、甲状腺ホルモンの分泌が増えて起こります。体の新陳代謝を異常に高めてしまうので、手先の震え、眼球の突出、動悸、発汗、微熱、頻脈、体重が減少することがあります。
出産後や更年期の女性に多く見られる症状で、うつ病や更年期障害と間違われやすい病気です。
甲状腺機能低下症はバセドウ病と逆で、甲状腺ホルモンが少なくなる病気です。のどぼとけの下全体が腫れているような症状ですが、痛みがあるわけではなく「痛くもかゆくもなかったので放っておいた」となると、やがては新陳代謝が低下して、すべてが老けていくような症状がでます。無気力で頭の働きが鈍くなり、もの忘れ、いつも眠い、受け答えがゆっくり、冷え、むくみ、皮膚の乾燥、髪が抜けるなどの症状がでます。怠け者やうつ病と間違われることもあるので注意しましょう。高齢者では痴呆の原因の1つにもなります。
甲状腺内にしこりができる疾患です。良性がほとんどで甲状腺機能には影響しないので、体調や精神状態に大きな影響がでることはありません。しかしごくまれに悪性がありますから注意が必要です。悪性の甲状腺腫瘍は、乳頭癌、未分化癌、悪性リンパ腫、髄様癌、濾胞癌など5種類に分けられています。