
卵巣は排卵のたびに傷つき、修復を繰り返しているので、女性の体の中でいちばん腫瘍ができやすい部分の一つです。しかし「沈黙の臓器」とも言われるほど、自覚症状がほとんどありません。できる腫瘍の9割が「卵巣のう腫」など良性のものですが、しかし、漿液性のう腫ではまれに悪性が隠れていることがありますし、皮様のう腫の成分の一部が悪性に変化し、がん化するものがあります。
注目してほしいデータがあります。卵巣がんが発見された人の50%は、下記の進行期分類の後期(III期以上)の状態です。卵巣の片方にがんが発生しても、もう片方が機能しているので、どうしてもある程度進行した段階で発見されるのが現状で、このため卵巣がんの死亡率は他のどの婦人科癌よりも高くなっています。
年齢では40~60代に多い病気ですが、思春期以降から閉経後にも起こります。以上の点からも、卵巣がんは幅広い年代の女性に認識してほしい病気です。
もし、腹部の膨張感、食欲不振、ガスがたまる、腰痛などの症状があったら、婦人科を訪れてみましょう。
診察で卵巣の腫瘍が見つかった場合は、卵巣のう腫(良性)なのか、卵巣がん(悪性)なのかを判別するために、超音波検査、CT検査、MRI検査などが行われます。良性で症状がなければ、数カ月ごとに診察を受けて経過をみるだけで、とくに治療はしません。検査結果がはっきりしない場合には、腹腔鏡下で検査し、細胞を採取します。
他にも血液検査から癌細胞に反応する腫瘍マーカーを測定します。腹部に体液がたまっている場合は、針で吸引し、癌細胞の有無を検査することがあります。
もし、卵巣がんと診断された場合、卵巣がんの進行期によってl期からlV期の4つの進行期に分類されています。
