「隠れ肥満」は健康とプロポーションの大敵
せっかくダイエットをして体重を減らしたのに、すぐ元に戻ってしまったという経験はありませんか。あるいは体重は以前とそう変わらないのに、体形がくずれた、なんとなくからだが重い感じがするという女性も少なくないでしょう。その大きな原因が、「かくれ肥満」です。かくれ肥満とは、体重とは関係なく、体脂肪率(体内の脂肪の比率)が高い状態のこと。油断していると年齢とともに体脂肪が増え、かくれ肥満が忍び寄ってきます。あなたにかくれ肥満の可能性があるかどうか、自己チェックをしてみてください。
かくれ肥満について知っておきましょう
肥満と体脂肪率
肥満とは、単に体重が多いことではなく、「体脂肪率が高いこと」。これが最近の肥満の定義です。つまりかくれ肥満こそ、本当の肥満というわけ。ダイエットで体重を落としても、体脂肪が減っていなければ肥満状態は続いています。また、やせている人でも体脂肪率が高い場合もあります。それを知らず放置していると、体形がくずれるばかりでなく、さまざまな病気の原因ともなってしまいます。
あなたはどっち?隠れ肥満の2タイプ
かくれ肥満の原因となる体脂肪には、2つのタイプがあります。
皮下脂肪型
皮膚の下に蓄積する脂肪です。年齢とともに増加する傾向があり、二の腕が太くなる、お尻や太ももがたるむといった形であらわれてきます。女性はこのタイプが多いのですが、プロポーションにかかわる気掛かりな体脂肪です。
内臓脂肪型
肝臓をはじめとした内臓に蓄積する脂肪です。外見からはわかりにくいのですが、ウエストが太くなる、お腹がポコッと出るといった状態の場合は要注意。内臓脂肪の増加は、脂肪肝、動脈硬化、高血圧、糖尿病など、さまざまな病気の原因となるので、本当はこちらのほうが深刻なのです。
意外!食事を抜くとかえって体脂肪が増える!?
こんな間違いをしていませんか?
ダイエットといいますと、まず食事の量 を減らす人が多いはず。たしかに食べすぎ状態が続くと、体脂肪が増える原因となります。でも食事の量 を減らすため、1日2食、あるいは1食だけにするといった方法は大変な間違いです。1日3食のうち1度でも食事をしないでいると、からだは飢餓状態に備えるため、かえって体脂肪を蓄積しようとします。その結果 、逆に体脂肪の多いからだになってしまうのです。
夜食も体脂肪の原因に?
では朝食を抜いて、昼食と夕食のほかに、夜食を加えて1日3食にしたらどうでしょうか。これも間違いです。夜の時間帯は体のエネルギー消費量 が減るので、体脂肪がたまりやすくなるからです。同じ理由から、朝と昼は軽めにして、夜はこってりと栄養価の高いものを食べるというのも、体脂肪の増える原因となります。
体脂肪を減らすダイエットとは?
体脂肪を減らすには、基礎代謝量をアップさせるのが効果的!?
基礎代謝量というのは、私たちが何もしないでいるときにからだが消費するエネルギー量 のこと。呼吸や心臓の拍動など、生命の維持に必要なエネルギーですが、とりわけ影響が大きいのは筋肉を維持するためのエネルギーです。筋肉は、年齢とともに落ちていき、代わりに体脂肪が増えています。若いころと体重が変わらない人でも、かくれ肥満が多くなるのは、このためなのです。筋肉の衰えを防いで基礎代謝量 を高め、体脂肪を減らすというのが本当のダイエット。
筋肉の衰えを防ぐには?
ダンベル体操、エアロビクス、速足のウォーキング、水泳などの運動が効果 的。できれば週に3~4回はつづけるようにします。体脂肪のなかでも内臓脂肪は、運動によって減らしやすいので病気の予防にも役立ちます。
食事面では?
1日3食をかならずとること。仕事の関係などで外食の多い場合は、カロリーの高い丼物はさけ、魚や野菜を中心とした品数の多い定食物にしましょう。
まとめ
食事制限を中心とした従来のダイエットではなく、運動と組み合わせることで体脂肪のつきにくいからだをつくっておけば、リバウンドでかくれ肥満に逆戻りといった失敗もありません。
おもしろデータ

体重50kgの女性が1時間当たりに消費するエネルギーは普段の歩行では100kcal、速足では170kcal、階段昇降では220kcal、水泳では390kcal程度です。手軽に出来る運動の中では、階段昇降が消費エネルギーも多く、足の筋肉もつきやすいのですが、傾斜が強く、狭い階段や、人通 りの多い階段でやるのは危険です。滑りにくいスポーツシューズをはいて足下をしっかりさせ、転倒事故には十分気を付け、最初のうちは自分の歩くリズムでゆっくりやりましょう。慣れてくると、一段とばしでも歩けるようになり、より筋肉の強化を図ることができます。