「うつ」は、自分の顔についた汚れに似ている、といわれます。自分ではなかなか気が付かないからです。家族や友人から、「このごろ元気がないみたい」とか「ちょっと性格が変わったね」といわれたことはありませんか。自分でも、なんとなく気持ちが落ち込む、だるい、息苦しい……そんな気分になったことはないでしょうか。
うつ状態の人は、他人から指摘されても、自分のうつをなかなか認めたがりません。そこでまずセルフチェックで、自分の「うつ度」を知っておきましょう。

軽いうつ状態の女性に、もっともよくみられるサインは不眠です。朝早くに目がさめてしまい、反対に起きるべき時間にベッドから出られない状態が続いたら要注意。朝から倦怠感があってだるかったり、ちょっと仕事をしただけで疲労感も強く、「疲れた」が口癖になる人もいます。日中も頭が重い感じがし、集中力がなくなるためうっかりミスをするようにもなります。症状が進むと、仕事や家事への気力が失せ、人と会うのが面 倒になり、好きなテレビ番組や雑誌も以前ほど面白く感じなくなります。そして「死にたい」とか「消えてしまいたい」と思うようにもなります。
<参考>
うつ状態における体の症状と出現率
(渡辺登『自分が「うつ」に思えてきたら読む本』日本実業出版社より)


重要な仕事をまかされたときの不安感、仕事が思うようにはかどらないときの焦燥感などがきっかけ。仕事がよくできる、生真面 目な女性がおちいりやすい傾向がみられます。とくに子どものころの精神的なストレスがある女性は、うつ状態が増幅しやすい特徴があります。たとえば幼児期に親から虐待を受けた、あるいは親からあまり愛されなかったという思いの強い人です。なんでも自分の責任だと感じやすく、人に相談することができずに孤立してしまうのです。「うつ度チェック」でポイントの高かった人は、仕事や人間関係のうえでも否定的な考えをもち、マイナス思考をしてはいませんか。軽いうつ状態なら、意識的にプラス思考を心掛けているうちに、少しずつ改善されていきます。
うつになるきっかけは人さまざま。親しい人の死や、恋人との別 れ、仕事上の失敗といったつらい出来事ばかりでなく、昇進、結婚、和解といった喜びもまた、不安感からうつを引き起こすことがあります。女性の場合は、月経うつ、更年期うつといった、ホルモン変調によると思われるものもあります。
うつ状態になりやすいのは、子どもが自分の思うようにならないことへのいら立ちの強い人。少子化の時代、ほとんどの女性にとって子育ては初めての経験です。母親が頭のなかで考えている子供像と、実際の子どもの姿が違っているのは当然のこと。とくに子供の性格は、遺伝子で決定される要素が大きく、親の教育法で左右できるものではありません。「かわいくない」とか「○○さんの子どもと違う」などと思わず、こういう性格の子どもなんだ……と思って見守ってあげるようにすると、自分の気持も楽になります。