あなたの「避妊知識」は大丈夫?
女性にとって、望まないときの妊娠ほどあわてることはありません。あのときしっかり避妊しておけば……そんな後悔をしないために、男性まかせにしないで、正しい避妊の知識を身に付けておきたいもの。知っているつもりでも、意外に思い違いをしていることも多いはず。あなたの避妊知識は、大丈夫ですか?
避妊法のいろいろ
ほぼ完璧といわれる避妊法は、不妊手術です。男性の精管や女性の卵管をしばり、精子や卵子の通 り道をふさいでしまう方法ですが、将来妊娠したいという若い女性にはすすめられません。だれもができる一般 的な避妊法には、次のようなものがあります。
低用量ピル
黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)を配合した避妊薬(ピル)によって、体内のホルモン分泌をコントロールし、排卵を抑えることで妊娠を防ぐ方法。一般 的な避妊法のなかでは、もっとも失敗率が低いとされています(詳細については、健康チェック『ピルを飲む人、飲めない人』をご覧ください)。
コンドーム
ペニスに薄いゴム製の袋をかぶせ、精液が腟内に入るのを防いで避妊する方法。日本ではもっともポピュラーな避妊法ですが、使い方の間違いなどから失敗する例も少なくありません(コンドームの正しい使用法については、次章のQ&Aを参照してください)。最近は殺精子剤の成分(メンフェゴール)をふくむコンドームも販売されています。
IUD=(リング=子宮内避妊具)
合成樹脂(プラスチックやポリエステル)の避妊具を子宮内にセットし、受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ避妊法。病院(産婦人科)でセットしてもらいますが、1回でほぼ2年間は有効です。便利な避妊法ですが、妊娠や出産経験のない女性の場合は子宮口が狭いのでセットしにくいことがあります。また、月経にトラブルがある女性(月経困難症など)の場合にも、症状が悪化する可能性があるので、医師と相談して決めましょう。
ペッサリー
子宮口に、避妊ゼリーを塗ったゴム製のふた(ペッサリー)をすることで、精子が入るのを防ぐ避妊法。病院で腟や子宮口の大きさを調べ、自分に合ったサイズのペッサリーをもらい、セットの方法も指導してもらいます。セックスの直前に子宮口にセットします。
殺精子剤
腟内に精子を殺す薬剤を入れて避妊する方法。ゼリー、フィルム、錠剤のタイプがあります。セックスの直前に腟に入れますが、薬剤が流れ出ないような体位 正常位など)で行う必要があります。ゼリーや錠剤は有効時間が短いため、射精のタイミングも考慮しなければなりません。
腟外射精
男性が腟の外に射精することで、妊娠を防ぐ方法。ポルノビデオなどの影響で、若い男性によくみられる方法ですが、女性の側からはけっして安全な避妊法とはいえません。その理由は、射精前にペニスから出る分泌液に精子がふくまれている可能性があること、腟口の近くに射精した場合、精子が侵入する可能性があるためです。男性から「外に出すから大丈夫」と言われた場合でも、相手まかせにせず、ほかの避妊法を併用するようにしましょう。
洗浄法
男性の射精後、女性がビデなどで腟内を洗浄する方法。射精後の精子はすぐに子宮に達することもあるので、洗浄するだけの方法では確実な避妊とはいえません。
オギノ式
次の月経予定日から排卵日を推定し、その前後をさけることで避妊する方法。自然な避妊法といえますが、月経はストレスなどの影響で不順になりやすいため、予測ができないことがあります。
基礎体温法
基礎体温を毎日測って排卵日を知り、妊娠しやすい時期のセックスをさける避妊法。基礎体温の変化からある程度は妊娠しやすい時期を把握できますが、ほかの避妊法と併用するほうが安心です。なお、月経中は妊娠しないと思っている女性が少なくありませんが、それは間違いです。月経中であっても、低温期のあいだは安全日ではありません(基礎体温の詳細については、健康チェック『知っていますか? 基礎体温の不思議な役割』をご覧ください)。
Q&Aで知る「コンドームの正しい使い方」
コンドームで100%避妊することができますか?
いいえ。アメリカのデータでは、正しい使い方をした場合で失敗率は約3%、一般 的な使用では約12%とされています。失敗の多くは使い方のミスによるものです。正しい使い方をすれば避妊率はかなり高いといえますが、完全なものではありません。
コンドームは射精の直前に着ければいいのですか?
いいえ。最初にペニスを腟にインサートする前に装着します。勃起したペニスから分泌される精液のなかに、精子が混じっていることがあるからです。
どのように着ければいいのですか?
ペニスが十分に勃起したら、コンドームの先端部分(精液だまり)を軽くひねって空気を抜き、ペニスの先(亀頭)にあてがい、巻かれている部分をそっと下までおろします。ペニスの根元までしっかりおろしましょう(図をご覧ください)。
コンドームを着けるときに注意すべきことは?
コンドームは厚さ0.02~0.05mm程度のとても薄いゴムです。乱暴に扱ったり、爪の伸びた手で触れると、表面 が傷つき、失敗の原因となります。女性が装着してあげるときは、とくに爪で傷つけないように注意しましょう。モーニング・アフターピル(緊急避妊法)のために病院をおとずれる理由の半数以上が、コンドームの損傷です。
射精したあと、コンドームはどうしたらいいですか?
射精後はすぐに、コンドームを着けたままペニスを腟から出しましょう。セックスの余韻を楽しむという点からはちょっと残念ですが、避妊のためには早めに出すほうが安全です。射精後のペニスは小さくなるため、そのままにしておくと精液がもれだしたり、コンドームが腟内に残る原因となります。
コンドームを捨てるときに注意すべきことは?
ペニスからコンドームをはずしたら、精液がこぼれないように口の部分をしっかり結び、ティッシュペーパーなどに包んで捨てます。女性が行う場合は、手に精液などがつかないように注意し、すぐに手を洗いましょう。
コンドームの保存で気を付けることは?
コンドームはゴムですから、長期間おいておくと劣化します。箱などに記された期限をすぎた、古いものは使わないようにしましょう。とくにサイフなどに入れっぱなしにしておくと、摩擦などで劣化が早まります。使わないでいた古いコンドームは、ときどき新しいものに取り換えておくほうが安心です。
コンドームにはどんなメリットがありますか?
避妊具としてのコンドームには、装着や持ち運びが簡単で、価格も手ごろなので、手軽に使うことができるというメリットがあります。正しく使用すれば避妊率もかなり高いのですが、ほかの避妊法と併用するとより安全です。コンドームのもうひとつのメリットは、エイズなどの感染症の予防です。この点については、コンドームにまさるものはありません。避妊法としてピルが一般 的になっている欧米でも、性感染症の予防のためにコンドームを使用する人は少なくありません。