ドキッとする老化現象「薄毛・シワ・老視(老眼)」の対処法
あなたはどんなときに、「トシ(年齢)」を感じますか。疲れがとれない、肌がくすむなど、人さまざまでしょうが、「薄毛・シワ・老眼(老視)」の3つは、どんな女性にとっても気になる老化症状だといえるでしょう。
最近は20代、30代から、こうした症状が出る人がふえています。この3つ、いずれも放っておくと、どんどん進行するばかり。早めにチェック、そしてケアを 。
薄毛・抜け毛の原因とケア
男性型脱毛症に要注意

女性の髪の毛は、本来なら20代~30代がもっとも美しく、丈夫になるとき。ところがその年代に、「なんだか薄くなったみたい」と感じる女性がふえています。
薄いと感じるのは、髪の毛そのものが細くなり、コシがなくなるためと、脱け毛の数がふえるため。とくに最近は、頭頂部やひたいの生えぎわが薄くなる、男性型脱毛症が目立つようになりました。
薄毛や脱け毛の原因は男性ホルモン、とよくいわれます。でも、男性ホルモンの分泌量が急にふえるわけではありません。むしろ、いろいろな理由から女性ホルモンの働きが悪くなり、相対的に男性ホルモンの働きが強くなっているだけ。男性ホルモンが強くなると、頭皮の皮脂がふえて毛根をつまらせ、髪の毛の成長をさまたげてしまうのです。だからおおもとの原因は、女性ホルモンの乱れのほうにあるのです。
女性ホルモンの乱れはなぜ起きる?
薄毛の原因となる、女性ホルモンの乱れの3大原因。それは「食生活の乱れ、いい加減なダイエット、ストレス」です。
食生活の乱れとは、好きなもの、食べやすいものばかりを食べる偏食。そして1日1食とか2食という、欠食のことです。ダイエットの場合は、いろんなダイエット法をくりかえしたり、自己流のいい加減な方法をつづけることが原因。どちらも栄養バランスをくずし、精神的にも不安定になり、女性ホルモンの働きに大きな影響を与えます。
そしてストレス。仕事では頑張り屋さんの女性、私生活では喫煙・飲酒などをたしなむ女性に、ストレスによる男性型脱毛症がふえています。同じストレスによる脱毛でも、円形脱毛症が内向的な性格の人に多いのとは正反対なのです。
薄毛が気になったら、髪の毛よりもまず、自分の生活を見直してみましょう。
びっくりデータ
脱け毛の数を一生懸命数える人がいますが、これはまったくムダな努力。髪の毛は健康な人でも、毎日80本~100本くらい脱けるので、数えてもキリがありません。本当にチェックすべきは毛根(脱けた毛の根元部分)です。毛根が、綿棒の形のようにぽこっとふくらんで太くなっていたら、それは健康的な脱け毛。でも毛根が逆に細くなっていたり、白っぽい汚れのようなものが付いていたら要注意。ケアが必要です。
髪は頭皮の細胞がつくる
髪が薄くなると、髪の毛ばかり気になりますが、気をつかうべきは頭皮のほうです。髪は、頭皮の細胞によって支えられているからです。
まず洗髪は、指で(ツメを立てず)頭皮を軽くマッサージするつもりで、まんべんなく洗います。マッサージは血行をよくし、発毛をうながす効果もありますが、こすりすぎは禁物。目的はあくまでも頭皮の皮脂の汚れを落とすこと。シャンプーが残らないよう、すすぎはていねいに。
ただし洗髪は1日1回にしておくこと。皮脂は多すぎても少なすぎても、薄毛の原因になるからです。髪を乾かしたあと、必要に応じて育毛剤を使うのも効果的。最近は栄養分や保湿成分の入った育毛剤がいろいろあります。地肌に刺激を与えない、自分に合ったものを選びましょう。女性と男性では、必要な成分にちがいがあります。ご主人や彼の育毛剤を使うのは、逆効果になることがあるので厳禁です。
どっきりデータ
同じ薄毛・脱け毛でも、40代からはちょっとちがった傾向が見られます。女性ホルモンが減少し、頭皮の皮脂も少なくなるため、乾燥が原因の薄毛に悩む人が多くなるのです。この場合には、同じように洗髪したあと、タオルでよくふき取ります。そのあと保湿効果のある育毛剤で地肌のケアをしましょう。
食生活を見直す

薄毛・脱け毛のケアには、食事のバランスがとても大切。基本は、頭皮の細胞に栄養を与えるタンパク質(肉・魚・乳製品など)をしっかりとること。頭皮の血行をうながすビタミン類(とくにビタミンB群とE)も欠かせません。
また食事は、1日3回きちんととらないと、頭皮の細胞にも栄養がいきわたりません。食生活の乱れや、いい加減なダイエットによる栄養失調が、薄毛・脱け毛の大きな原因であることを忘れずに。
シワは日常のケアでストップできる
40代までのシワはトシのせいではない

シワといえば、お年寄りの代名詞みたいに思われがち。でも女性が自分の顔のシワにはじめて気づくのは、20代後半から30代が多いのです。睡眠不足の朝などに、目じりや口元の小ジワを見て、ドキッというケースです。
さて、問題はここからです。「私ってもうトシなんだ」と、妙にナットクしていませんか。でも40代くらいまでのシワは、加齢によるものよりも、紫外線と乾燥が原因ということが多いのです。だから日常のケア次第で、まだまだ進行をストップさせることができます 。
紫外線のダメージを防ぐ
シワのいちばんの原因は、紫外線です。いつも紫外線を浴びている顔にはシワができやすく、洋服でかくされている下腹部やお尻にはシワができにくい……このことからも、紫外線の影響がとても大きいことがわかるはず。
紫外線は2段階で、顔にシワをきざみます。その第1段階は、表皮の角層(角質層)にあるケラチン線維に影響を与え、弾力を失わせ、浅いシワ(小ジワ)をつくります。次いで第2段階では、真皮のコラーゲン線維や弾力線維をこわし、肌をたるませ、深いシワをつくります。浅いシワから深いシワへと進むのを、いかに防ぐかが日常の予防のポイントです。
紫外線によるシワを予防する基本は、外出時にはUV(紫外線)ケア用のファンデーションやクリームをかならず塗ること、そしてできるだけ日傘や帽子を利用することです。紫外線は暑い季節だけのものではありません。寒い季節でも、量は減るものの紫外線はふりそそいでいます。シワの進行を止めるには、1年をとおして紫外線対策が大切なことを知っておきましょう(紫外線のくわしい情報や対策は、「あなたの肌年齢は、何歳ですか?」をご覧ください)。
紫外線がシワを促進させる
紫外線とならぶシワの原因が、乾燥です。大気の乾燥する寒い季節はもちろん、いまはエアコンの影響で1年中、肌は乾燥状態にさらされています。目元や口元のシワが目立つのも、この部分はヒフが薄く、乾燥しやすいからなのです。
とくに外気と接している表皮の角層は、薄い膜のようなもの。ちょっとしたことがきっかけで、すぐに乾燥状態になります。たとえば、洗顔のときのこすりすぎ。顔をごしごしこすると、皮脂がはがれ、保湿機能も失われてしまいます。洗顔のときはせっけんをよく泡立て、そっとなでるように洗うことが大切。洗顔後はすぐに、化粧水などの保湿液を十分につけておきましょう。
シワが深くなりかかっているときには、真皮の弾力性を回復させてやるために、洗顔後や入浴後にコラーゲンを補給する化粧品をつかってみましょう。コラーゲンは食事からとることもできます。肉や魚の皮やすじ、軟骨の部分などに多くふくまれていますが、たくさんは食べにくいので、サプリメントを利用する方法もあります。
マッサージでシワの予防を
顔のマッサージといえば、たるみの対策とだけ思われがちですが、シワの予防にも効果があります。マッサージをすると皮脂の分泌がうながされ、保湿効果もアップするからです。
マッサージをするときには、じかに顔をこするとヒフを傷つけるおそれがあるので、かならずクリームを塗ってからしましょう。指先全体でクリームをのばすように、ソフトタッチでおこないます。
基本は下から上へ。そして内から外へ、円を描くようにします。目の下やひたいの部分は、形にそって内から外へ半円(目の下は下向き、ひたいは上向き)を描くようにして、くりかえします。1日1回、あせらずに最低でも2、3ヵ月はつづけるのがポイントです。
老視は早めのケアが大切
老視を我慢すると肩こりや頭痛の原因に
老視(老眼)は、本格的な老化の始まりといわれます。目の老化は、それくらいシンボリックな、だれにでも起こる老化症状なのです。
でも老視の始まりには、かなり個人差があります。40代で始まることが多いのですが、早い人で30代、遅い人なら60代というケースもみられます。また近視の人は老視にならないといわれますが、けっしてそんなことはありません。いくぶん遅い傾向はありますが、かならずなると思っていたほうがいいでしょう。
若いうちは、自分が老視だと認めたくない気持ちがあって、見えづらいのに我慢をしている人が少なくありません。ところが、それが目に負担をかけ、肩こりや頭痛の原因となっていることもあるので要注意。
「ものがちょっと見えづらいな」と感じたら、まず老視を疑ってみましょう。
老視の診断は眼科で
老視というのは、目のレンズである水晶体が老化し、ピントを合わす調節力がおとろえる症状です。次のようなことがあったら、老視の可能性があります。
・近くのものを見ていて急に顔を上げたとき、遠くのものにピントがすぐに合わない
・新聞や本などの文字が見えづらくなり、少し離して見るようになる
・薄暗いところで本などが読みづらくなる
このうち、もっとも自覚しやすいのは、2番目の症状です。いままでふつうに読んでいた本などが急に読みづらくなったり、目が疲れやすくなるからです。
こうした症状がみられたら、一度眼科で診断を受けてみましょう。「目の病気でもないのに、どうして眼科に」と思われるかもしれません。その理由は、本当に老視なのかどうかの確認が必要だからです。
老視の始まる年齢になると、白内障などほかの眼病を併発していることがあります。糖尿病や高血圧などの病気から、眼底出血や網膜はく離を起こし、ものが見えづらくなっていることもあります。実際に目の診断から、こうした病気が発見されることもあるのです 。

どっきりデータ
目のピントを合わすことのできる最短距離を「近点」といいます。小学生くらいの子どもの場合には、近点はわずか5cm程度。つまり目のすぐ前に本を置いても読めるほど。それが30代になると、急速に遠くなり20cm程度。40代では、35cm程度にもなります。ふつう読み書きをするときには、書類などを25~30cmくらい放すので、40代の近点では見づらくなってしまうのです。
眼鏡やコンタクトで早めに調整を

老視は、ある程度の年齢までは進行していきます。ですから放っていても、どんどん見えづらくなるばかり。近くが見えづらくなってきたなと思ったら、早めに眼鏡やコンタクトレンズで調整したほうが、目が疲れにくく、仕事の能率も上がります。
遠近両用もふくめて「老眼用の眼鏡にはちょっと抵抗が」という人も多いでしょう。たしかに40代くらいまでは、ほかの人から老視だと思われたくない気持ちもわからなくはありません。でも見えづらいのに我慢していると、眼精疲労や肩こり、頭痛などを悪化させ、体調をくずすことにもなりかねません。
そんな人には、遠近両用のコンタクトレンズが便利です。遠近両用のコンタクトレンズは、遠くを見るゾーンと近くを見るゾーンとが、同心円状に配置された構造のものが主流になっています。自分が見ようとしたものに応じて、遠くでも近くでもピントを合わせることができるのです。最近は使い捨てタイプもあって、ケアも簡単になっています。
自宅では眼鏡を、仕事や外出時にはコンタクトレンズをといった、使い分けをしている人もいます。いずれにせよ、やせ我慢せずに眼科医によく相談し、自分に合った眼鏡やコンタクトレンズできちんと調整することが、アイ・ケアの第1歩であることを忘れずに。
また老視が始まったら、目を酷使せず、いたわる気づかいも必要です。パソコンやテレビはほどほどにして、ちょっと目が疲れたなと感じたら、冷やすなどの方法でこまめなアイ・ケアを心がけましょう 。