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不妊症について

排卵誘発剤を使うと、三つ子や五つ子が生まれませんか。
排卵誘発剤には、脳に働いて卵胞刺激ホルモンの分泌を促すもの(クロミフェン)、卵胞刺激ホルモンを含むホルモン剤(hMG・ヒト閉経性腺刺激ホルモンFSH)、さらに黄体化ホルモンと似た働きをして排卵を促すヒト絨毛性腺刺激ホルモン・hCG)があります。クロミフェンは飲み薬ですが、他は注射薬です。
 使い方は症状や目的によっていろいろですが、排卵障害などの場合、まずクロミフェンで治療。効果がなかった時に、hMGまたはFSHを注射して、最後にhCGを打って排卵を促すという使い方が多く行われています。
 排卵誘発剤を使うと、一度に複数の排卵が起こるので、以前は5つ子や7つ子の誕生などが話題になりました。これを多胎妊娠といいます。しかし、今ではこうした妊娠を防ぐ方法がいろいろ工夫されています。たとえば、排卵障害の治療で複数の卵子が育ってしまった場合には、排卵を促すhCGを打たなければ複数の排卵を起こさずにすみます。また、人工受精だけで妊娠しない時は排卵誘発剤を併用しても多胎にはなりにくいことがわかっています。それもあって、まず人工受精だけで妊娠の可能性を探るのです。
 こうした工夫や注意で、今では多胎妊娠は少なくなっています。
不妊治療に行ったら、原因不明といわれ、いきなり体外受精を勧められました。医師によって、治療方針は違うのでしょうか。
両側の卵管が詰まっていたり、精子の数や動きが非常に悪いなど、原因によっては最初から体外受精を行わざるをえない場合もあります。しかし、どういう治療を行うかは、医師の考え方にもよるのです。
 医師によっては、タイミング療法や人工受精など一般的な治療に時間を費やすより、生殖補助医療を早く実施した方がいいと考える人もいます。逆に、できるだけ自然に近い方法で妊娠してもらうことを基本においている医師もいます。実際には、タイミング療法だけで妊娠できるのか、あるいは体外受精まで必要なのか、これは実施してみないとわからないのです。そこで、タイミング療法から始めてだんだん治療をステップアップしていくことが多いのです。
 また、順番にステップアップしていくといっても、タイミング療法をどのくらいの期間続けるのか、人工受精を何回ぐらい行ってダメなら生殖補助医療に移るか、という問題もあります。これは、最終的にどこで諦めるかという問題にもつながってきます。現在の不妊治療法で、全ての人が妊娠できるわけではないのです。また、医師の力量によって同じ治療法でも、妊娠の確率には違いがあります。
 ですから、まず医師と話をしてどういう治療方針を持っているのか、自分の考え方と一致するのかどうか、知ることも重要なのです。
体外受精や顕微受精で妊娠した場合、奇形児など子供に障害がでる率が高くなることはないのですか。
体外受精や顕微受精は、かなり受精に人の手が入り込むので、こうした心配をする方もあると思います。
 しかし、体外受精はすでに20年以上の歴史があり、年間1万人が体外受精によって誕生しています。安全性についてもほぼ確立されており、奇形の発生率も成長も自然妊娠で生まれたこどもと差がないことが報告されています。自然妊娠に比べて多少流産が多い傾向はありますが、これは治療を受ける患者さんの平均年齢が高いこととも無縁ではないようです。
 一方、顕微受精はまだ新しい技術。日本で始めて顕微受精による赤ちゃんが誕生したのは、1992年のことです。歴史が浅いという意味で完全に安全性が証明されたとはいい切れないところもあります。
人工受精や体外受精は、どのくらい繰り返してもいいものですか。
どういう治療法をどのくらい続けるかは、医師の考え方や患者さんの希望、あるいは患者さんの年齢などによっても変わってきます。しかし、これまでの調査やデータなどを元に、タイミング療法は半年から1年、人工受精は5~8回、さらに排卵促進剤を併用して数回というあたりが、だいたいの目安です。
 厚生労働省が男性不妊の場合を対象に調査した結果では、人工受精で妊娠した人の8割が7回以内に妊娠したとあります。体外受精や顕微受精で妊娠する人は、だいたい5回以内に妊娠しているそうです。
 人工受精は保険が効きません。人工受精は1回1~2万円程度ですが、体外受精や顕微受精になると1回30~50万円とも言われています。不妊治療の泥沼に陥らないためにも、治療の限界や可能性を考え、自分の考え方をしっかりと持つことも大切なのです。